If
後悔など、ないと言った。
思う様に生きたつもりだし、何よりもとから願いなどなかった。
あったとしてもそれはもう満たされたもので。
過去のもので。
その事実に満足していたし、以上を求めるつもりはなかった。
未来に繋がる願いなど、この身には無意味だから。
これは、ひと夜の夢で。
そうして、自分は無意味なものを追う程馬鹿ではなかった。
筈だった。
与えられてしまったからだろうか、この生を。
仮初であれ、この世界に存在し始めたことは既に、
望むことを叶えるという人間としての欲を持つことを
肯定されたということだ。
望みを抱くこと、つまりはそれ自体を。
きっと。
だから、きっと無意味だと知りながらも願ってしまったのだろう。
今、思えば確かにそうだった。
明確な意識などなかったけれど。
ぼんやりと気付いたのは夢の終わる間際。
自分にしては何と遠回りをしたかと思う。
ひと夜の夢であれ何であれ、生きているならば欲したものを
求め手に入れればよかったのだ。
それが自分の生き方であったはずだ。
だから、柄にもなく少し、頭の端で思った。
もしも奇蹟とやらが起こって次なんてものができたらなら、
今度こそあいつを手に入れてやろうと。
後悔など、なかったんだ。
だけど、新たな望みがこの胸にあった。
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