Side:L
たとえば。
「千年の孤独に耐えたと する」
「なんだ、それは」
たとえばの話だよ。
そしたらな。
「その中でどんなに辛くても 苦しくても」
いいや、そうであるならあるほどに。
「今の幸せで、全部チャラになる」
むしろ。
「かなりのお釣りがおまけされるんだ」
「なんの話なんだか」
だって、なあ。
「苦労した後の幸福ってのはそういうもんだろう?」
「そう、いうものだろうな」
あー、だから、俺が言いたいのは。
「俺はもう、コレ以上ないくらい幸せなんだろうなあって」
なあ、お前は?
Side:A
たとえば、千年の孤独に耐えたとする。
そうして、その痛みは。
過去の大きな苦は。
今の幸福に、プラスとして加算されると。
(能天気…)
にも程がある台詞を、あの男は吐いた。
(しょうがない、アイツは馬鹿だから)
だけどバカのその台詞に、
泣きたいくらい今を自覚させられて。
込み上げてきた想いと共に、私は思ってしまった。
「だけど、先の千年はもう耐えられまい」
失くすその先を考えた。
ああ、馬鹿は私の方じゃないか。